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1.NGOによる小学校建設の取り組み

 カンボジアにおける小学校建設の実態を把握するために、関連するNGO団体にヒアリングを行うとともに、それぞれの団体が関わった小学校を視察した。対象としたのは以下の4団体である。


1-1 CCHOME (カンボジアこどもの家)

 孤児の里親支援、寺子屋活動、村の産業復興支、教育支援、技術教育支援など総合的な支援を行っている。タイとの国境のまちであるポイペットに拠点を置き、孤児や学校に行けない子どもの教育・生活支援を行う。学校を建設し教育を行うとともに、桑畑作りやアロエ栽培などで村の産業を育成するとともに、各方面の専門家を招き専門技術教育を行い地域の人々の生活力向上に取り組んでいる。一般的なNGOとは異なり、「ひとりNGO」であることが特徴である。

1-2 JHP ・学校をつくる会

 カンボジアに学校をつくる事を活動の主軸に据えるNGO。地球上の戦争や自然災害で、教育が受けられないあらゆる国々の子どもたちのために必要な様々な活動を行う。自分たちの手で現地へ入ることをモットーとし、駐在員を送り、ローカルスタッフと共に現地の人々と直接交じり合い、汗を流し合い、助けあい学びあうということを実践している。

1-3 SVA (シャンティ国際ボランティア会)

 SVAの前身「曹洞宗東南アジア難民救済会議」(JSRC)は、1980年1月、タイに逃れてきたカンボジア難民の救援を目的に、曹洞宗によって結成された。現在、タイでは都市部のスラムや農村での保育園・学生寮の運営を行う。ラオスでは学校建設や教材製作・配布を行う。カンボジアでは学校建設、職業訓練センターの運営などをおこなっているほか、3か国で常設・移動の図書館活動を展開して開発協力・復興支援に取り組んでいる。

1-4 FIDR(国際開発救援財団)

 1990年に外務省から財団法人の許可を受けて設立された。開発途上国で、農漁村開発や人材育成などの地域開発事業や災害などに対する緊急復興援助を実施するほか、開発途上国で援助活動している民間援助団体(NGO)の事業を資金助成している。

2.NGOによる小学校建設の実態

 前述した特徴と同じく、学校建設のみを行う団体は少なく、様々な施設の建設ならび運営、あるいは土木系、医療系、教育系の活動とあわせて地域の環境全体の質を高める活動が多い。ヒアリングを行った4団体では、学校の建設のみに従事しているJHPは特異な存在と位置づけられる。SVAは教育支援の一環として学校建設を、FIDRは開発支援の一環として位置づけているのがわかる。以上の3団体が、カンボジアの諸地域、また他の国でも活動を展開しているのに対し、CCHOMEはポイペットの地域のみを対象として地域全体に関わる活動を行っている点が特徴的である。

 まず、ダイレクトリーにも記載があった前者3団体についてその活動実態の特徴を分析する。各団体とも1~2名の日本人スタッフと数名のカンボジア人スタッフによって事務所を運営しており、事務所運営ならびに学校建設は、募金や民間助成金、公的資金などによってまかなわれている。1年間に10棟から20棟程度建設している。

 SVA、FIDRは、ドナーがいた場合、教育局から情報を得て対象地を選定した後、現地調査でニーズを確認し、地域住民と話し合って建設を決定する。JHPは、建設の要望書が毎年100件程度申請されるので、その中から書類選考を行い、書面による質疑を行った後現地調査を行い確定するという流れをとっている。いずれも校舎の不足や、既存の校舎の老朽化(SVAは既存校舎の建替えのみ)を建設の条件としている。

業者委託により4ヶ月程度の期間をかけて建設するのが一般的であるが、住民参加に対する考え方は各NGOによって異なる。JHP、FIDRは積極的な住民参加の取り組みを行っておらず、草取りや校庭の整備、建設後のメンテナンスを想定するのみである。一方SVAでは、以下の5つの取り決めをクリアすることを建設の条件としている。①基礎部分への土盛り作業もしくは労賃負担を地元で行う、②単純作業員5名を地域住民から選出する、③資材の質や建設工程をチェックする、④作業員の安全を確保する、⑤新校舎の維持管理を行う、の5つである。これらの取り決めが十分かどうかは議論のあるところだが、こうした条件を設けることで、住民参加は他と比較して格段に進んでいると評価できる。

 校舎建築は、教育省が基本プランを作成している。いずれの団体も独自のプラン作成は行わず、瓦の仕様、窓の大きさ、廊下の幅員等の微調整を行うのみで、基本的に教育相の作成したプランを踏襲している。躯体はRC造、壁はレンガ組石にモルタル仕上げが多い。屋根は木で小屋を組み、瓦葺きあるいは波型スレート葺きなどを用いる。校舎規模は、3教室あるいは5教室かが選択される。教室の他には、図書室、職員室、トイレ、井戸がつくられる。SVAのみ、校舎建築には教室しか設けないという厳格なルールを設定している。子どものための学習スペースを確保することに重点を置くべきであるという考えからである。しかし、職員室不足によって健全な運営が損なわれる可能性もあり、教室を職員室に転用する例も報告されている。また、建設後のモニタリングもNGOの活動業務である。メンテナンスや工事の瑕疵について、半年後、1年後、2年後というようにしばらくの間、チェックを行っている。

 以上が、ダイレクトリーに記載のあった3団体の活動実態であるが、CCHOMEはこれらのNGOと異なり組織化されておらず、次の①~⑤に挙げるように、状況にあわせて臨機応変な対応を行いながら地域密着型の活動を展開している。

①村民との密接なコミュニケーションによって、本当に必要な地域に小学校を建設する。教育局の情報に頼るだけでなく、自ら綿密な情報収集を行っている。

②技術修得や仕事の確保、自分たちが建てた学校という想いを醸成するための機会として、住民参加を積極的に推進している。

③限られた資金の中で、できるだけ多くの地域に学校を建設するためにコストを下げる努力を行う。基本的に教育省の型に順ずるが、自ら設計施工を仕切っており、試行錯誤しながら様々な建設方法を実施している。

④活動資金は、講演ならびにスタディツアーの実施によって捻出している。公的あるいは民間の助成には様々な制約が付加されるため、消極的な対応をとっている。

⑤教員の給与を教育省だけに頼るのでなく、適正な額を自ら添付して支払う。

 小学校建設のみを専門とするNGOは少なく、環境整備や医療、農地開発や小規模事業支援を統合して総合的に地域を援助する団体が多い。これは、教育や医療、農業などあらゆる分野において農村が貧しく、住民の生活水準を底上げしなければ、小学校が適切に機能しないためである。小学校を教育援助の一環として位置づけて活動を行うのが一般的である。しかし、カンボジアでの絶対的な小学校不足を背景に、建設事業においては小学校の建設活動を行うNGOが最も多い。

 小学校建設への住民参加に対する意識はNGOによって異なる。住民の参加はNGOの年間建設計画や建物の質に直接影響するため、組織的に活動を行うNGOにおいては計画性の確保のために住民の参加を単純労働などの役割に留めている。地域に密着して活動を行うNGOにおいては積極的に住民を参加させており、技術の習得や住民自治の意識の向上に繋がっている。

 小学校のプランに関しては、どのNGOも教育省の基本プランを踏襲しており、躯体はRC造、壁はレンガ組石にモルタル仕上げが多い。屋根は木で小屋を組み、瓦葺きあるいは波型スレート葺きなどを用いる。校舎規模は、3教室あるいは5教室かが選択される。トイレと井戸が併設されるのが一般的だが、NGOによっては図書室、職員室を設けている。
04/30|アジア都市建築研究 カンボジアコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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近畿大学理工学部建築学科都市計画研究室は、2007年4月より新しく生まれ変わりました。

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これまで培われてきた「地域・生活に根ざし地域とともに考える」という視点を継承しつつ、フィールドをアジアに広げ活動を進めていきます。
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